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藤田和日郎

last modified 2000-04-28

からくりサーカス

藤田和日郎氏の最新作にして現在進行形の連載作品。『うしおととら』のときは,面白いけれどもちょっと間延び気味かなと感じてましたが,この作品はすごい。作品が一区切り着くところで「一時閉幕」し,新章が展開するというこころにくい演出。なんといっても心打つ台詞の数々。

おとなしくかっこつけてあきらめんな!
笑うべきだとわかったときは,泣くべきじゃないぜ。

最初に打ちのめされたのはこういった台詞。七巻まで進んで,自動人形[オートマータ],しろがね,といった言葉が次第に明らかになってくると,物語の壮大さ,構想の巧みさが見え隠れする。

藤田氏の短編集にからくり人形のネタが出ていたが,あれとのかかわりは直接的ではないにせよ,出てくるに違いない。フランスと日本,そしてアメリカまでもが舞台になるという舞台の広さも最近の展開として見逃せない。主舞台は日本とフランスだが。

なによりもしばらくサンデーから離れていて読んでなかった回について,七巻読んで唸らされたのは,鳴海までがしろがねとなるその展開。

なかなか大ヒット作品を出した後それを越えるものを出すのは大変だと思うが,藤田氏は易々と(というのは語弊があると思うけれど)それを成し遂げている。比較にだすのは失礼かもしれないが,『寄生獣』と『七夕の詩』を較べてみるだけでも自ずとわかってもらえるのではなかろうか。

サーカスを扱っている漫画で筆者が気に入っているのはこの『からくりサーカス』と,高橋葉介の短編,そして楠桂の『サーカス・ワンダー』。それぞれ「サーカス」をどう捉えるか,どう料理するかという観点はぜんぜん違うのだけれど,それぞれに素晴らしい魅力があると思う。

単行本は今12巻が最新刊。鳴海の苦悩が12巻あたりから次第に表面化し始める。純粋な,子供の為だけの,そのためなら「悪魔(デモン)」にでもなってやる!との決意が伝わってきた。連載中に読んだときもかなりぐっときたけれど,12巻に収録されたのをまとめて読んだら泣いちゃいましたよあたしゃ。これは読むべき作品。しろがね・マサルとも今週号(えーと2000年4月28日現在でね)ですれ違いました。再開は連載終了直前かな?

もうずいぶんと長い間ここを更新してませんが、からくりサーカスは相変わらず読んでます。完結した後、包括的な読後感などをアップしたいなあなどと思ってます(2003年10月25日)。

2005年も半ばに入ったというのに、からくりサーカスはまだ続いている。きちんとフロシキをたためるんだろうか?


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