締め切りがある仕事をだいたい終えて、買っていただけだった本を一気に読んだ。
・アリッサ・クゥオート著、古草秀子訳『ブランド中毒にされる子どもたち』(光文社、2004年)
まぁタイトルどおりの本で、印象批評的にはよく語られてきたことを、かなり広範囲にわたる少年少女へのインタビューにもとづいてまとめた本。読みやすい訳文で、非常に面白く読めました。気がつくとブランド物の服を買うことにアイデンティティーを見出しているような人にはぎょっとするような内容かもしれませんが、一読して損はないと思います。
・石山茂利夫『国語辞書事件簿』(草思社、2004年)
もともと国語学というか日本語学には興味があって、いろいろ読み散らしてきています。最近・・・でもないけど『新解さんの謎』なんかはずいぶんと読まれたはずで、わたしも発売当時げらげらわらいながら読んだ記憶があります。でもこの本は、元々読売新聞社の記者で『今様こくご辞書』(読売新聞社)『日本語矯めつ眇めつ』(徳間書店)『裏読み深読み国語辞書』(草思社)など国語辞書かんけいの本をずいぶんと出してきた著者による、本人は論文とまでいえないと謙遜しているものの、かなり学究的な本。
辞書、特に広辞苑の「剽窃」問題について辞書自体を丹念に調査していて、推理小説のように楽しく読めますが、著者のような丹念な調査と著述は、余人にはそうは簡単にまねできないもので、迫力があります。もっと学術的な本ですが、前田勇さんの『大阪弁』(朝日新聞社、1977年<1980年3刷>)を思い出したりしました。
・永井均『マンガは哲学する』(講談社プラスα文庫、2004年)
蒼牙さんの書き込みをみて読んでみようと思った本。
なかなか楽しく読めましたが、呉智英氏の本や夏目房之介氏の本と同じような、マンガ作品そのものの分析本とおもうのは、おそらく間違い。まあ著者自身も「まえがき」でいっているといえばそうなんですが。
いってみれば、マンガでこそ表現できる哲学命題、「私」とは?を様々な作品を通じて追求している本といったほうがよいかも。
ちょっと気になるのは、分析のためとはいえ、作品のオチをまるまる見せてしまっているところがある点。楳図かずお『洗礼』については特筆大書してまず作品を読め、といってるんですけどね(113頁)。
いずれにせよ、マンガが好きで、また哲学書、というよりは「哲学がわかる」類の本が好き(でも本格的?な哲学書はかったるくて読んでない)という人向きの本だと思う。
と、まだ紹介したい本はあるんだけれど、長くなったので今日はこの辺で。
2004/12/01(Wed)
更新と濫読日誌14
ちゃいなタカシさんから投稿いただいた学校怪談サブストーリー『鏡よ鏡』を掲載しました。「投稿記事」からご覧ください。
さて、先週末、まじで体調を壊しました。日曜夜から15時間寝っぱなし。寝不足が続くとこうなるわけだ・・・
今回はいままでの本とはちょっと異色。安達洋『日産を甦らせた英語 その学習法、活用法、思考法』光文社、2004年。
企業研修担当者向けの英語教育本。実はバイトしている塾で英語の授業を担当しそうなので、結構参考になるところがあったりした。「社員たちの悩み」と題して《「精度」と「スピード」のジレンマ》や《どの教材がいいのかわからない》などはかなり具体的で参考になりましたね。
まあ、Chunk-based readingは、大学受験でも用いられる長文を早く読む方法だったんでへえ、っておもったけれど。