というわけで、暑苦しさ大爆発の島本和彦先生原作の傑作(怪作)漫画逆境ナインの実写映画です。蒼牙さんと見に行った後、大阪に買い物に行った帰りに勢いでもう一回見てしまったので、少し冷静な視点も混ぜつつ感想を述べたいわけだ。
最初に。この映画は、原作をどこまで再現できるのか、原作ファンをどれくらい「失望」させないのかという視点(1)と、純粋に映画として見た時にどう感じるか(2)という二つの視点、いずれをとるかによって評価がかなり違います。
以下、最初に(1)あの原作をよくここまで!という視点から、次に(2)映画としてはどうか、という視点から述べてみたい。
なお、公式サイトでもかなりネタばれしてはいるし、ここのページは「ネタばれ注意の映画の頁」ではあるのだが、いちおうネタばれなしでこれから見たいと思っている人のためにちょっと間をあけることにしよう。
目次だよ。
覚悟は決まったかな?
原作が6巻あり、かなりはちゃめちゃな展開であることを考えると、よくも2時間にまとめたものだと感心する。また、キャラクターを絞り、位置づけを微妙にずらしつつも、印象的なシーンをうまく入れ、同時に羽住英一郎監督ならではというか、さりげない少年同士の「ちょっと感動話」も入れてあって、なかなか見させる。
原作はなにしろ印象的過ぎる言葉が目白押し。あれもこれも入れてほしかった、なんていっているときりがない。
その点、
また、県代表になるところまでで止めていたのは見事といえる。これ以上やると間延びしてしまっただろうしね。
二度目にみたときには、冷静に、盛り上がるシーンとタメというか寄り道のシーンがどのくらいの間隔ごとにはいるかを時計をちらちら見ながら確認してみた。
大体20分おきくらいに盛り上げとタメが交互にくる。見ている感覚としては、30分くらいのTVシリーズを4回まとめて見ている感覚である。
そのせいか、微妙にもやっとした感覚が見終わった後にのこるのだ。なんか盛り上がったとおもったいいところで強引に盛り下げられてしまう感じがする。
演出上で一番文句をいいたいのは、やはり男球。次にサカキバラゴウの描き方である。
男球は、それ自体の映像としては非常に良くできている。けれど、ナインを吹っ飛ばすバットをもった東郷十三(なんでこんな妙な名前にしたんだろう。ゴルゴ13のパロディだろうけれど)自体の「すごさ」はかなりじっくり演出されているのに対して、不屈闘士が「男球」を投げられる経緯がどうも弱く感じる。これが男球に関する演出で文句をいいたい第一点。
そして第二に、せっかくいい感じの男球を映像化できてるんだから、スコアをちょっと調整してでも、男球をもっとたくさん見せて欲しかった。東郷のバットでやられる不良のエピソードなんて、そこだけを切り取ればたしかにうまい、と感じさせるが、バカ映画であることを極端に強調して、いっそカットしてしまい、男球をもっとドーーーンと画面に出して欲しかったなぁ。
次にサカキバラゴウ。映画をみているときはキャラクター的に面白くてOKではあるけれど、あまりにダメ教師過ぎる!一回も授業をしていないって・・・そのせいかいまいち言葉に重みがないんだよね、原作に比べて。
正直かなり見ているときは楽しかった。ただ、冷静に見ればってこと。自分で映画を撮るわけでもないから好きなことをいえるわけだが。
で、オススメか?というと、デートにはオススメできない。なんとなく消化不良な感じがのこるんじゃないかなぁ。
原作を読んでいる人には、是非見に行って欲しい。島本先生本人がでていたり、全力学園野球部の旗に「全力でも無理」とか書いてあったりして(これは新吼えろペン1巻にかいてあるけれど)コネタがいろいろ笑えるのは確か。
原作を読んでない人は?一人で行って、その後に(ここ重要)コミックス6巻を是非とも読んで欲しい。きっと島本和彦のファンになる。いみじくもいま(2005年7月)発売中のサンデーGXの島本和彦とあだち充の対談であだち充が言っているせりふと同じになっちゃうんだけれども。
written by 睡魔