同じようなこと書いている人もしかしたらいるかも知れませんが、ま、それはそれ。書きたくなったのでしかたがない。
特注:ネタバレありまくりです。未見の人は絶対に読まないでください!!というわけでちょっと空白入れときましょう。
覚悟はできたかな!?
目次だ。
1.UTADAの旦那は結構やるぜ
2.庵野はちゃんと「映画監督」だったんだな
3.デビルマン?
デビルマン(とてもあれを「永井豪のデビルマン」の映像化とは思えないので、以下、映画版デビルマンをデビルマンと表記します)を見に行った。ちょっとだけCGを予告編として見て、一抹の不安を覚えたが、なにかほんの一部でも見るべきところがあればなぁなどと夢想していた。
そんなある日、悪友達と久しぶりに飲む。仕事帰りで結構疲れていたわしは、調子に乗って飲んだ日本酒でいい感じに酔っ払っていた。その勢いで、デビルマン行こうデビルマン、と、その場にいた二人の悪友に誘いかける。
露骨にいやそうな顔をされる。実を言うと、不安を感じる記事はすこしばかりネットで見てはいた。ただ、見る前にあんまりそういうの覗くのもな、と思って見ていなかったわけだ。ところが悪友の一人、絵師のYASがいうことには、相当にひどいらしぃ。覚悟を決めるために、帰宅後ネットでさくっと検索をかけて見る。
これが出てくる出てくる・・・むしろ怖いもの見たさがむくむくと。
さっさと上映してるところをリストアップ。二日後には映画館にいたわけだ。
最初にいっときます。ほんとーにすごいです。
以前キャシャーンを見た。2004/5/17の日記に書いてありますが、アンドロ軍団の行進はかなりの見もの。
ただ、当時見た感想は・・・
要は映像によるカタルシスはあるし、オマージュも、まぁ抑えすぎかもしれないけれど、一つのありかたかなと思えなくもないけれど、いかんせんキリヤ監督の伝えたいテーマがダイレクトすぎて、ちょっとなぁというところがあったので、100点満点でいえば75点くらいだった。
でもなぁ。デビルマンを見た後では、この評価がかわっちゃうんだよなぁ。だってさぁ、デビルマンには、漫画版へのオマージュしかないんだもの。
最初にいきなり映画館を出ようかと思ったのが冒頭。えぇ?何の覚悟もなくいきなり取り付かれたのになんでアモンの意識を乗っ取れてるの?!?!
原作はさ、コミックス一巻まるまる使ってサバトの演出して、これでもかと盛り上げる展開があって、ようやくデビルマンになるんだよ?
そりゃさぁ、二時間という枠のある映画では原作にまるきり忠実ってわけにはいかないかもしれないよ?
でも、冒頭のシーンだけでなく出てくるシーン出てくるシーンすべてのキャラクターの行動になぁああああぁんの必然性も見て取れないんだよ。これは漫画版を無理に二時間に詰め込んだから、じゃぁなくって脚本が下手なんだよ。あきらかに。
なんでこんなこというかというと、原作で印象的なシーンはかなり無理して、ストーリー展開上必要もないのに並べられてるから。シレーヌなんてまさにそれ。ぜーんぜんわかんない。
キャシャーンはこれにくらべると、キャラクターの行動が、すごくよくわかる。わかりすぎるくらいに。それが青臭く、稚拙に感じられもしたんだけれど、すんません。わしが浅はかでした。キャシャーンはちゃーーーーーーーーーーーーーんと映画でした。きっちり時間内に見せたいところは見せ、切り捨てるべきところはかなり大胆に切り捨てることで、スピード感もあったし。
デビルマンはねぇ、これにくらべちゃうと、ただ原作漫画のお気に入りシーンを順番に並べて見ただけ。ここでキューティーハニーとも比較して見よう。
キューティーハニーもね、開始早々脱力したんだ。あんまりにも如月ハニーが馬鹿っぽく描き出されるから。
でも、サトエリは、「アマデウス」における「サリエリ」とはちがって、なにかを振り切った、ハニーなりきりの演技を、見事にこなしてる。
出てくる登場人物も、たぶん庵野監督の指示だろうけど、作り物っぽい動きをしつつも、演技はかなり良い。
そう、この点こそ、デビルマンとキューティーハニーが大きく違う点。キャシャーンは、かなりうまい俳優で固められてて、主人公のちょっと棒読み気味なところもある演技も味になっていた。
キューティーハニーは、演技がきちんと計算されてる感があったのだ。デビルマンはそうじゃない。
演技がうまいやつなんて独りもいない。
特にひどいのが不動明と飛鳥了役をやっていた伊崎兄弟。だれよりも伊崎央登だ。登場する俳優全員を下手な方へと引っ張った。
まぁあんな脚本じゃ全力をだしたくてもだせなかったのかな?と思うと、パンフには「学芸会すらやったことない」「全力を出し切った」なんて書いてある。
特撮のお約束な演出をきっちりやって、わかりやすい起承転結を見せる脚本と、かなり計算された演技をみせる俳優陣。キューティーハニーはしっかり「作品」になっていた。
デビルマンはそうじゃない。
この映画を見てなにかプラスになることがあるだろうか。ある。だめな映画の造り方がばっちりわかることだ。この映画がやったことの反対をやれば、きっとそれなりにヒットする映画が作れるよ。
じゃ、お前はどうおもったのかって?
さっきから書いてるジャン。でも書いてないこともある。CGだ。
使い方が下手なんだよなぁ。最後のデビルマン対サタンのシーンは本来クライマックスのはず。だけど、最初のほうでシレーヌ対デビルマンが出てきてしまう(しかも決着が付いてない)ので、なんのカタルシスも感じないのだ。
結論。この映画は那須博之の自己満足映画である。
脚本を担当している監督の奥さん(那須真知子)。「北の零年」の脚本も書く予定のようですが、東映は考え直したほうがいいんじゃないかなぁ。